ふつう一般的には、想像力を養うとか、
楽曲分析をした上で即興をしたりすることが多くありますので、
演奏力が豊かになるとかいったものが主流だと思いますが
幼児向けの即興演奏の練習は、
ソルフェージュ力をつけるためにも
大いに利用して楽しんでいただけたらと考えています。
聴音や拍子感・拍感覚
リズム打ちや指番号
譜読みとしては・・・
音名を覚える
目でひとつずつ音符を追える
1小節分のリズムカードを隠して、次の小節のリズムカードを置いても前のリズムカードを記憶できている
その後、年齢が上がるとともに、
線と間から音程を考え、指でもその感覚が取れるようになる
音程からの聴音・感性のある聴音(不思議・悲しい・明るいといった雰囲気)
などといったことを、身につけるために即興演奏を利用できます。
【ピアノ教本アレンジ】方法として、一番最初にご案内している内容です。
大切なポイントは、一般的に様々な教本に載せられている「即興課題」と称しているものは、
上のソルフェージュ的なことが、できていると仮定されて提示されていると感じます。
教本には、それぞれこの過程で何を学ばせたいか書かれていて進められています。
この段階では、このような力はついていると仮定されて問題が載せられていますので、
課題があってもソルフェージュ力がなかったら・・・・
ここを間違って使ってしまうと、
即興って、難しくてこの生徒には無理だと決定づけてしまうことがあります。
[チェックポイント一覧]を用意して、先生ご自身の目でも確かめて
この生徒には、何ができて、何ができないか明確に把握しておきます。
- 白黒の違いがわかる
- 拍子感は身についている
- これまで「まねっこ」聴奏をしてきて慣れている
- 左右両手がコントロールできる
- リズムは理解できている
- テクニック・指の動き
などなど、細かく確認した上で
これからする即興課題の「目的」を明確にしておきます。
「想像力を伸ばすための課題ではなく」
注意する点は、目的が曖昧だったり
2つ以上同時に課せられていたり
(左右の手のコントロールができる
リズムを考える
拍子感のある曲に乗って・・など)
力があった上で、
想像力を伸ばすための即興を課題としたいとしてするのかどうか、
どちらもこちらも・・・と
できるできないが混同してしまうと、
まずできそうかどうか調べてみる程度でやり始めたとしても、
生徒はしっかり記憶され、
「こういう問題は、私には無理!できない!」
とインプットされてしまうことが、これまで多くありました。
そうでない陽気な生徒もたくさん出会いましたが、
用心深い生徒は、その「できない病」を治療するのに、
ものすごく時間がかかってしまいます。
方法の一つは、グループで最初にやって、
できないなあと思う生徒は、見る側に回ってもらって
失敗してもできなくてもへっちゃら!という生徒に
即興課題をやってもらいます。
変にできても、笑っておしまい!
いい曲だったねえ〜と(誠心誠意事実を具体的にお話しし)勇気を讃え!
失敗しても大丈夫なんだ
みんなも完璧にはできないんだと思ってもらい、
次に事細かに段階を説明し、
それができるようになるステップを
一歩ずつ踏んでもらいます。
もちろん楽しい課題に作り変えて進めていきます。
ゲーム性を出して面白いように。
また短い課題にして。
一気に階段を駆け上がらない。
面白い・興味があるといった時点でおしまいにし、
また来週!
どんな子供でも、失敗は嫌だなあと思いますから、
個人で行う場合は、何をするのか生徒にわかるように説明し、
先生がまず弾いたりします。
これまでしてきたことがないことで
目的が2つ以上ある場合は、
1つに絞る
ステップを踏んで進めば、「できる!」という体験を積み重ねていく
また不得意でできないことと一緒に新しい課題をするのではなく、
得意な・・例えばリズム打ちが得意な生徒には、
リズムを変奏する事が即興演奏になるようにして行う
今までは、カードを見てリズムを正確に打つことが目的だった
それが次に、4小節の内、1小節穴あきのようにして、
そこだけ好きなリズムを打つ
しかし、その生徒の拍子感が不安だったら、
複雑なリズムカードではなく、シンプルで単純なリズムカードを利用して即興リズムを行う。
そして次々リズムカードが変わるのではなく、
同じパターンを2つ並べた後に、1つ新しいリズムを即興するなど、
負担がないようにしておく。
慣れてきたら、1小節ごとにリズムカードが変わるなど複雑にしていき、
2小節単位、4小節単位と広げていきます。
この2小節単位4小節単位というフレーズ感が
拍子感にも導いてあげられる。
歌を用いて、ブレス(息継ぎ)など
教本のスラーを見て、フレーズ感をなど、
ステップを踏んで身につけられたら
その時点で、即興課題も変わる。
同時に2つの課題にはなっていない状態
(拍子感クリアー)で、
先生のオスティナートの伴奏による生徒のメロディ即興演奏も
負担ではなくなるわけです。
次に、
[先生の伴奏がつけられていて、生徒は黒鍵3つを弾く課題]
自由に弾きましょう
があったとします。
先生の伴奏は、どのようなスタイルか?
生徒が黒鍵3つを自由に弾ける条件の伴奏とは?
その子によって、本当に無限に考えられます。
◆拍子感があるなしで考える
<ある場合>
★★美しい楽曲的な伴奏、イメージ中心でそちらに耳がいっても良い
先生の伴奏も、自分の演奏も、同時に聴くことができる能力が育ちつつある状態。
★オスティナートの伴奏(イメージのある、シンプルで拍子感が取りやすい)
ある程度先生の伴奏は聞ける、そしてそれに自分の演奏も聞きながら乗せようとしている。
<拍子感がない場合>
★★伴奏にも拍子感がない、リズムもない和音・単音・ペダルを踏んで・無音など
自分の音を聞くこともできていない、またよく聞く習慣がない場合、
先生の伴奏で無音の箇所も作り、自分の音を聞く姿勢を育てる
★イメージのあるものの表現=雨が降ってくる・波の音・乗り物の音(自動車・電車)
リズムは自由
◆リズムの好き嫌い・苦手意識があるなし
<リズムが得意な場合>
★★自由なリズムをつけながら生徒は先生のイメージされた伴奏に乗せて即興演奏する
<リズムが苦手な場合>
★★パターンリズムを使った即興演奏をする。
1枚のリズムカード または、拍子にあったリズムを1小節作曲し、
そのリズムだけを使った即興演奏をする
はじめは単音、そして2音、3音と増やす
次は指番号で黒鍵の色々な場所を弾く
この場合、腕などのコントロールも必要になるので、
テクニックを考えられる先生は、方法がまたいろいろあるかと思います。
(例えば、1オクターブの移動などのケース)
その時の速度は?強弱は?と、様々な条件も
その子どもにあったものを揃えます。
音楽には、拍子のない音楽もありますから、
両方即興課題にすることをお勧めします。
先生方にとっては、長年身につけられた力を「破壊」するのは、
大変かと思います。
そのこともあり、時々は自由な即興も楽しまれるといいかと思います。
そういったことを考えると、
一番最初から即興を取り入れたソルフェージュで
またリトミックを取り入れたレッスンからピアノに入ってきた子供とでは
先生の進め方が、どれだけ楽で
子供たちにとっても楽しい即興演奏になるかと
考えてしまいます。
そこで育った子供たちと接していると、
難関が出てきても、
過去にやったリトミックがものをいって来て、
ちょっと振り返りをしただけで、
応用力が効き、自分でわかってくれます。
幼児期にリトミック的に、リズムだけの即興演奏
色々な楽器で、音楽に合わせて踊ったり、打ったりする経験は
とっても楽しいですし、ストレス発散にもなりますし、
ピアノ即興に入った時にも、大いに役立ちます。
ぜひ楽しんでほしいです❣️
最初の習慣は、本当に大切ですね。
西洋音楽、機能和声の音楽は、「ドで終わりましょう」など
決まりを教えたりしますが、
適当に自由に弾いて!と言って任せたとき、
終わった音(ド以外の音で)で、「どんな感じになった?」と質問するのは
将来にとってとても重要な役割を果たします。
間違いだとして終わってしまうのは、
大きな損失です。
最初は色々なものを感じ取ってもらいたい。
枠組み(調性感)は、10歳くらいからでも十分ではないかと思うのが、
私の考えです。
探索する楽しさを失ったら、
10代過ぎに自分から積極的に探索する機能が働くかどうか・・・
過去これまで経験してこなかったのですから・・・
ここに書きましたのは、ほんの一例で、
ヒントにしていただけたらと思います。