3月のワークブック活用術から
モチーフを作る課題が出ています。
モチーフという言葉は、大人になってから聴いた、
というお話をピアノの先生方から伺いました。
さまざまな子どものためのピアノ教本には、
この「モチーフ」ということばが出てくるようになりましたが、
まだまだモチーフ(動機)という意味は、初めて!
とおっしゃる先生のために、これからお届けしようと思います。
曲の最初の2小節(イントロを除くテーマ)が、動機です。
(多くが2小節で、決まりではありません。1~数小節)
音楽を構成する最も小さい単位
リズム・メロディ・ハーモニーのそれぞれ特徴が素材となります。
今回は、1小節目と次の1小節のメロディが同じものを探しました。
全く同じものもあれば、少し飾りがついた程度の変化のあるものもあります。
2小節の内、最初の動機を前動機 2小節目を後動機といったりします。
1小節内に要素がたくさんある場合は、
第1動機・第2動機・第3動機など名前をわかりやすく提示します。
決まりはありません。
例えば下の曲では、

(例1)

青:第1動機 緑:第2動機 黄:第3動機
(例2)

青:第1 赤:第2 紫:第3 黄:第4
など、分け方は自由です。曲の中でどれをよく使っているかをみて、
動機づけします。
今後そのように説明することもあります。
モチーフといえば運命
モチーフといえば、一番有名な動機は、ベートーベンの運命です。
第1楽章内で200回とも300回以上とも検索で出てきます!!!
あの「ダダダ ダーン」 です。
「運命はこのように扉を叩く」

この2小節のモチーフの特徴は、
①同じ音を3つ続けて
②長3度音程 下行
③最後の音は伸ばす
④リズムの形 前動機:8分音符 後動機:2分音符
⑤ハーモニー:2小節単位で 最初の2小節は主和音 続く2小節が属七和音
⑥一番最初に8分休符が1つ入っている。
⑦ff 強い音から始まっている。
ここで楽曲分析が終わっては、何にもなりません。
なぜ3つ続くのか、3つ連打したらどのような感じになるのか。
続いた後、どうして音が伸びているのか、伸びたら前とのバランスでどのように感じるか。
この構造から物理的な様子、そこから心情的な様子を探索していきます。
最初の8分休符から次に現れる8分音符の3つの重みは?
休符があった場合、なかった場合、
呼吸の具合もあって、全然表現の仕方が変わりますね。
[扉を叩く] というエピソードは、弟子によるもののようですが、
このモチーフの力が、曲全体を支配しています。
ノックした音→誰かが尋ねてきた?→それは運命の・・・
想像しただけで、イメージが膨らむタイトルですね。
クラシックを普段聴かない人でも、このモチーフは
印象に残らない人はいないのではないでしょうか?
このような【核】になる重要なものがモチーフです。
一般的な分析の方法は、こちらのリンクをご覧くださいね。
とても丁寧に解説されています。
最初の8分休符が入っていない解説は、ちょっと残念でしたが、
とてもわかりやすいです。
この8分休符の意味は、音楽をされている方にとっては、
ショートケーキの上にイチゴが一個のっていないのと同じくらい
とても大切な意味があります。
リンク先では、建築家の設計図のような解説です。
建った建物を見て、どのように「感じる」か
その点を考えた上で、ベートーベンは柱や壁を選んだ設計です。
多くの展開が望める動機作り(素材)に、
大作曲家はスケッチブックを片手に散歩したり、
忘れないようにレストランのメニューに走り書きしたり、
と苦労してきました。
皆さんも、モチーフ作りにチャレンジしてみてください!
これまでの曲が違って見えてくるかもしれません。
<ベートーベンの運命>
らららクラシックより